WHO①
金曜日の朝だった。
爆発音で目が覚める。
窓を開けると、空を飛び交う無数の黒い影。
あれは確か、無人の爆撃機だ。
何が何だかわからないまま、急いで制服を着る。
焼いただけのトーストをかじり、ミックスフルーツジュースを飲んで外に飛び出ると、街は跡形もなくなり、あたり一面瓦礫だらけ。
「どうしてうちは無事なんだろう?」
首をひねった先にひるがえるスカート。
「明日、授業サボってさ」
「世界を征服しに行かない?」
そんなことを、昨日どこかで聞いた。
あれは誰の言葉だっけ。
目の前の女の子に声をかける。
「きみは誰?」
「さあね」
「…あのさあ」
「…」
声に出さないままに、彼女は僕の言葉を手で制した。
こちらに向かって飛んできていた無人の爆撃機が空中ではじけとぶ。
「行こう」
つづく(たぶん)。