人間性を捧げられなかった男への戦力外通告
インターンをクビになりました。
唐突ですが。
スタートアップの社長から直々に「戦力外通告」が来ました。「お前使えない」と言われたということです。地味に初めての経験です。
その理由と、反省を文章にしてこの「失敗」をまとめてみようと思います。
※最後まで読んでいただければわかると思いますが、お世話になったスタートアップを批判する意図はありません。自分のその場での主観と、今振り返っての客観的な評価をしておきたい、というのがこの文章を書いた目的です。
◆人間性を捧げよ。
そのスタートアップとの出会いは先の秋。某インターン斡旋サイトで僕宛に連絡が入ったことがきっかけでした。
カフェに呼ばれて、お話を聞いての第一印象は「この人と僕はおそらくまっとうな意思の疎通ができないな」でした。
まず、僕の目を見て話してくれません。
「将来こういうことがしたいんです」といった話をしても「ふーん、じゃあこういうところチェックしてみたらいいんじゃない?」と肩透かし。よく分からない会社を紹介してくれました。
なんだろう。まるで、「お前の人となりなどどうでもいいから、うちで価値が出せるのかどうなのかだけ言って帰れ」と言われているような感覚でした。
あとあとになって、この感覚が正しかったことがわかります。
結局、ビジョンをいまいち共有してもらえないままにこのファーストコンタクトは終了し、その3週間後に初出社となりました。
実際に会社に行ってみて、「これやって」とリストがきました。
自分には全く挑戦したことのないものでしたが、数時間のタイムリミットがあったのでやるしかありませんでした。
結果は、社長からのコメントにすべて集約されています。
「これに報酬を払うのはちょっと無理だね」でした。
どうやら僕が数時間かけて生み出した成果は0だったようです。
その時の失敗の要因はひとえに「事前準備不足と瞬発力不足」だったと思います。
新しいこと(=インターン)を始めるにあたり、前述のファーストコンタクトから「それとなく気が乗らなかった」こともあり、ちゃんと準備できていなかった(というかそもそもやる気がなかった)のです。おまけに、その「話しにくい雰囲気」に飲まれてロクに質問もできなかったのです。そりゃあ0円の価値しか生み出せません。僕は天才ではないのです。
「君の価値は0だ」そう告げられて、かなり凹むと同時に「これからどうしよう」という考えが頭をよぎり始めました。でも、バイトをしていなかった僕の当時の収入のアテはそのスタートアップしかなかったのです。「とりあえず続けよう」と気分を切り替えました。
その後。
僕が入る前からいた人や後から入った人が7人、戦力外通告を受け(もしくは自分から)、会社を去って行きました。
それを見ていて、あの日のファーストコンタクトと社内でのコミュニケーションの上滑り感の正体を知りました。
これだけ人間関係が流動的だと、たかがインターンの学生の人間性に興味を向けている時間はもったいなくてしょうがないのです。
もちろん、そのスタートアップに大きく貢献するような働きをした「中堅」の学生は社内でも重宝されるので円滑なコミュニケーションが取られています。僕はそれが居心地悪くてたまりませんでしたが。
僕の知見が狭いので滅多なことは言えないのですが、これはおそらくどこのスタートアップでもそうなのでしょう。「使えない」奴は「使えない」のです。その存在そのものがスタートアップにとっては非常にコストになる。だからどんどん「切る」。極めて合理的です。ベンチャー企業になる前段階、軌道に乗る前のスタートアップには、いちいち学生をフォローしている余裕はない、ということなのでしょう。優秀な人材を引き当てるまで、延々とドローし続けるのです。
この経験から僕が得た教訓は、
「まず成果を出せなければ、存在が許されない組織がある」ということでした。
そして、それが当然だよねという文化が固まった状態においては、それを押し付けざるをえなくなるということがわかりました。僕にとっては初めての経験でした。
もちろん、個社差はあると思います。
でも、「勝つ」のは僕がいた会社のような「貪欲さ」、「成果のためには人間関係を安売りしよう」というある種人間性を疑われざるをえない「非情さ」で動いているスタートアップなのだと思います。彼らはやるべきことをやるべきタイミングで冷徹に実行しているだけ。それがまさに「戦いを勝利に導く本質」なのでしょう。
「適切な価値をターゲット顧客の欲しい形で素早く提供すること」
スタートアップだけでなく、どの企業にも当てはまる経済活動の根幹をなす「仕事」。
これは一見、すごく人間的な行為のようです。求められているものを求める人に届ける。いいストーリーがいくらでも書けそうです。
しかし、スタートアップのそのストーリーの裏側では、人間関係をバンバン使い捨てて「鮮度」と「品質」を保つための処分が粛々と無されていました。
僕はそれまでそのような種類の非情さが正しいとされる組織(そして求められる成果が、自分のその時のスキルと比べて極めてハイレベルな場所)に所属したことがなく、その事実を知らなかったのです。それで、大きなミスマッチを感じていました。
それが、僕の直接的な失敗の原因へと結びついて行きました。
◆戦い続ける意志力
前述した通り、僕はそういう組織において「役立たず」のままでした。
新たに仕事ももらえず、誰にでもできることをとりあえずやる日々。
ビジョンにもうまく共感できず、やりがいも感じられず、人間関係を構築できず…
そこで「挑戦しよう」という意思と、情熱をかけられる領域はもはや残っていませんでした。
結果、「コミット不足」ということで戦力外通告。
これは明確に失敗と言えるでしょう。だって、誰も幸せになっていないのだから。
社長からすれば、「こいつもハズレくじだったか。まぁ、必要経費と思おう」
僕からすれば、「何もできなかったしやろうとも思わなかった。せめて文章化しておこう」こういうことです。
では、今後僕がこういう失敗を繰り返さないために何ができるでしょうか?どういった行動をとるべきでしょうか?
ここにこの文章を書く意味を込めます。
- 自分の知らなかった本質 - 「行動が感情に偏りすぎている」ことへの対策
- 選択の基準を明確にすること
- 忘れないこと
1. 自分の知らなかった本質 - 「行動が感情に偏りすぎている」ことへの対策
まず、1についてはそのままです。
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。もう十分わかったと思いますが、僕は「気分屋」です。自分をうまく乗せられればうまくいくし、そうでない時はとことんダメなのです。
その原因は、「基礎努力の不足」だな、と感じています。
どういうことかというと、目標を立ててコツコツと自分を積み上げていく作業よりも「今自分にできること」を最大限にやっているだけに過ぎない毎日を過ごしていたということです。
大学の受験勉強をした時にはある意味自分の本性とは異なるアプローチを踏んだおかげで、一段上の自分になれたのだと思います(基礎科目の体得など)。
大学に入って、自分の人生を規定する段階になってそれができていなくてはお話になりませんよね。大学受験でせっかく得た学びを無駄にしてはなりますまい。もう一段、もう一段と上に登っていくにはその都度基礎を作って行く必要があります。
というわけで、次のチャンスに向けてじわりじわりと基礎努力をすることをここに誓います。具体的には自分の生きて行く領域「経営」の基礎となる古典たちの熟読玩味。
そして、来る春の渡米に向けた英語力の向上。毎日をより濃くしていきます。
2.選択の基準を明確にすること
これは、今後参加するインターンを選ぶ場合においてはその選択基準を徹底しようということです。
具体的には、
- その会社の事業領域・ビジョンに興味や強い共感性があるか、情熱を注げるか
- 自分に求められる仕事に対して自分のスキルはどの程度あるか
- 自分に求められる仕事に今挑戦する意味・意義はあるか
- 報酬の支払い形態はどうなっているか(もしくは金銭報酬は不要と思えるほどの経験値を得られるか)
- その会社で経験したことが後々ポジティブに役立つことが想像できるか
こんな感じですね。
もろもろ細かいところも出てくると思いますが、概ねここに落ちると思います。
僕が成長速度を上げるには、ある物事において「心血をそそぐ価値」を見出す必要があります。それが時には「人」であったり(かつてのサークルや塾での仕事)、「物事そのもの」(ゲーム作り)であったりしますが、それを見つけないことにはダメなんだということがわかりました。というか、学生であるうちはそれでいいと思います。ダメですかね?
3.忘れないこと
今回の経験は、僕にとって少なからず苦い経験となりました。
実はいろいろやっていた2015年だったのですが、失敗もしまくっています。
その度に上記のような振り返りをすればよかったのですが、その時々によってしたりしなかったり…思えば、このブログを始めたきっかけは「サークル内での不和」でした。
失敗の積み重ねは、未だに結実していません。
ですが、僕の人生にもいつか来る「死闘」のためにも、今を戦い続ける意志力は捨ててはいけないと強く思いました。
なので、忘れません。この文章をここに、胸の中に残しておきます。
そうして、私は明日へ向かいます。
明日勝つために、今日を戦い続けます。
以上、年末年始に天元突破グレンラガンを一気見し、成人式を終えた直後に熱と風邪に倒れ、病床で戦力外通告を受けた男の意地でした。