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DRILLOOOON!!!!

だいたい1000字くらいで20歳の夏の思い出を書き溜めます。

世の中、ずるいやつばかり。

「ヒトにあらざるもの」と戦わなくてはならないこの国では

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風が強く吹いている。

 

天は高く澄みわたり、昼下がりの太陽が散ったばかりの桜を煌々と照らしていた。

昼食の代わりに食べたカップラーメンはすでに胃を通過し、小腹が空き始める時間帯だ。読みかけの本にしおりを挟み、買っておいた苺味のドーナツに手を伸ばす。

 

こないだの週末から世の中はそこそこの騒ぎに包まれている。

この国は、他国の侵略の脅威よりも自然災害にさらされる機会の方が多い

そんな言葉を目にしたのはTwitterだったか。あそこは不思議な場所だ。

Twitterで、聖蹟桜ヶ丘で解体中のビルに取り付けられた足場が強風にあおられて倒壊する動画を見た。

最新のゲームの物理演算もかくやと言わんばかりに盛大に倒壊していた。事実はHavok神よりも奇なり。

 誰がヒトを殺すのか?

1947年から2012年までの殺人事件の被害者は77261人。

1947年から2012年までの自然災害の被害者は52273人。

 

僕が生まれた1995年から2012年までだと、

殺人事件被害者数=11267人

自然災害被害者数=29321人

 

台風や火山の噴火、豪雨に雪害、地震津波

 これらの自然災害が、人間の悪意を超えて、ヒトを殺している現実がある。

 

僕らはこれからもこの星で生きて行く。しばらくは。

だけれど、「この星の上で生き残る」ということについてしっかり考える時間はあまりなさそうだ。

 

Before, Kill her.

かつて、こんなゲームのプロットを書いたことがあった。

 

この星が僕らを殺そうとしているーー。

 

異常気象、正体不明の疫病の発生、そして大規模災害。

首都機能が停止した街で狂い始める人々。静かに最後の時を待つカルト教団

 

世界に終わりが訪れる一か月前。

 

この星と戦う覚悟を決めた人々がいた。

この母なる星=彼女を殺す前に、彼らは何をしたのか?

 

確か、ノベルゲームにする予定で流産した脚本だ。

タイトルは、「Before, Kill her.」。

星が意思を持って人類を排除しようとする、という設定だった。

 

物語の終盤。

人類はその悪意を持って、いとも簡単にこの星を終わらせるだけの兵器を完成させる。だが、70億人が演じた悲劇に強制的に幕を降ろす権利を持った主人公が、ヒロインであるこの星=彼女を殺す前に取った行動はなんだったのか?

 

そこまで考えて、筆が止まった。

 

僕は人を殺す悪意に晒されたことはないし、災害で死にかけたこともない。

想像では決して書けないものがあることを知った。

そして、自分が想像しようとしていたことが、違う形ではあるが2011年を境に現実として次々と現れてしまったことで、その続きを書くことを諦めた。

 

僕が書いた主人公は、地球を終わらせる前にどんな行動をとったのだろうか?それはわからない。ただし、決断はこうなると決めていた。

 

「星に殺される前に、自らこの星を終わらせ、運命を共にする」

 

すべての人の魂の戦い

風が強く吹いている。

 

依然として街は澄み渡る空の下に広がっているが、影はすでに伸び始めていた。

読みかけの本は少しだけ進み、食べたドーナツはその腹持ちの良さを存分に発揮している。

 

再びTwitterを開く。

 

海外の大物DJがステージから客席を取ったパノラマ写真をアップロードして「This was special.」とコメントを添え、コスプレイヤーが自身の撮影会の写真(加工済み)を宣伝し、大学生が「ラーメンを食べた」ことを誰にともなく報告している。

 

その合間合間に、熊本の様子を伝える大手メディアのツイートと、人工地震説を唱える大人のツイートと、原発を停止しろと叫ぶ政治家のツイートがあった。誰がリツイートしたのかは知らないが。

 

「この星と戦うヒト」と「ヒトと戦うヒト」が同じ舞台の上で戦っている。

 

「ヒトにあらざるもの」と戦わなくてはならないこの国では、ヒトがヒトにかまっていられるってのはかなり幸せなことなんじゃないかな。

そんななんでもないことを考えながらの日曜日が終わっていった。