【書評】将来がわからず悩んでいる大学生は、一度落合陽一の本を読んでみてほしい。【読書は魔法ではない。】
将来は予測できる。
「人工知能が碁で人間を負かした」というニュースを聞いたり、「いずれ人間の職を人工知能が"奪う"」という話を聞いたりしたことがあるだろうか。2016年はAIやらVRやら、多くの人には「なんだかよくわからないけどすごそうなもの」が流行り始めた年として語り継がれるだろう。
僕が初めて「その手の話」を聞いたのは2015年の春だった。
人類は確実に次の段階に進もうとしている。そして、自分はその過渡期の時代にちょうど生まれた!こんなにワクワクすることはないぞ!と思ったことを覚えている。この話を僕にしてくれた相棒のエンジニア(親しみを込めてウォズと呼ぶ)には頭が上がらない。なにせ、彼は「僕の人生を拓いてくれた」といっても過言ではないからだ。
『自分の将来について考えたところで、結局よくわからないんだから考えても仕方ない』と片付けてしまう人があまりにも多いということに気がついたのもその頃だったように思う。
実はそんなことはない。ある程度、これから先の世の中はどうなっていくのか、は予測がつくのである。しかも、1500円以内で、200ページちょっとで。
日本がなぜ世界から遅れているか、説明できますか?
落合陽一という人物がいる。
詳しく語ろうとすると1000字記事が3つくらい書けちゃうので省略するが、誤解のないように書いておくと彼はAIやVRの専門家ではない。科学と技術を用いて魔法のような装置を開発している、今の日本を代表する研究者でありメディアアーティストである。
彼は研究者だ。だが、その教養はいわゆる「科学」にとどまらず、芸術や哲学や社会学、そして経営学にまで及ぶ。
その広く深い知見が語る「これからの世界」は、中高生向けと謳っているだけあってかなりわかりやすく描かれている。人工知能とコンピュータとインターネットがもたらす変化と現実に今起こっていることが書いてある。筆者の落合陽一先生が目線を向けている中高生はもちろん、僕の同世代の大学生にこそ、ぜひ読んで欲しい一冊だ。落合先生が思っている以上に、今の大学生は中学7年生とか高校4年生でしかない、と私文の僕は思う。
彼らには、それまで自分が「当たり前」と思っていたことが当たり前じゃないことを知って大きな衝撃を受けてほしい。少なくとも3回は価値観を破壊されるだろう。
例えば、
- 力ずくでなんとかなることはコンピュータにやられる
- 人間がコンピュータの「下請け」になる ※悪いことではない
- 「大企業に入ると有利」「外コン・外銀は強い」は最早幻想でしかない
など
挙げようと思えばいくらでも挙げられる。
日本が世界から遅れていることはなんとなく知っていても、それがなぜなのか説明できない大学生は、今からでも遅くはないから落合陽一先生の本を読んでみてほしい。
「そんな将来が来るなら、自分はどうしたらいいのか?」
という疑問に対して、ちゃんと答えてくれているから。
「自分」を持たない同期たちへ
少なくとも、今、「とりあえず行っておいたほうがなんとなく良さそうだから」という理由でサマーインターンの選考を受けている18卒はお願いだから「なぜそうなのか」を突き詰めてほしい。
大手ベンチャーのサマーインターンの選考でグループ面接を受けていると、驚くほどに「論理的思考力」だけで戦おうとしている人が多いことに気づく。
企業の名前と(金と)やっていることに乗っかろうとして、自分の実力を大いに示し、「さあ、俺はこんなに処理能力が高いよ!でも別にやりたいことはないから自分を好きに使ってくれ!」と自分から喜んで飛び込んでいく人があまりにも多すぎる。
親の代から変わらない価値観で戦ってもきっとあなたの思うような幸せは手に入らない。
いい大学に入り、大企業を目指しても「これまでどおりの安泰」は最早存在しないことは、すでに国内大手電機メーカーが示してくれているじゃないか。
なぜそうなのか。ぜひ、考えてみてほしい。
考えてわからなかったら一度、落合陽一先生の本を読んでみるといい。驚くほどわかりやすくされた「今、そしてこれからの戦い方を考えるヒント」がそこにあるから。
「なんとなく」ホワイトカラー=処理能力の高い人間=ジェネラリストを目指すのではなく、「確固たる理由」と「モチベーション」を持って唯一無二のクリエイティブ・クラスになろう。
僕はそういう人と一緒にこれからの世界を創っていきたい。
だが、読書は魔法ではない。
最後になるが、読書は魔法ではない。落合陽一先生の本を読んだからといってあなたは偉くなるわけでも、賢くなるわけでもない。知らないことを知っただけだ。
その情報をもとに、あなたがどう行動するか。
その一点に、落合陽一先生がこの本を書いた事によって生まれる価値がかかっていることを忘れてはならない。
20歳の僕からは以上だ。僕も言葉のつぎは行動で示そうと思う。
まだまだ2016年の夏は始まったばかりだ。(2105字)