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DRILLOOOON!!!!

だいたい1000字くらいで20歳の夏の思い出を書き溜めます。

世の中、ずるいやつばかり。

駅で目にしたなんとなくいい風景。

「車掌のミス」

四ツ谷駅は19時。

小ぶりのリュックを背負った小学生が、ゆさゆさと中央線のホームに歩いてきた。1番線にはオレンジ色の中央線快速電車、東京行きが止まっている。

出発前の、ホームの安全確認をしていた私は、不意を突かれた。

「この電車市ヶ谷まで行きますか」

少年の高い声に呼ばれた。
安全確認の姿勢のまま、思わず聞き返す。

「えっ?なんて?」
「市ヶ谷まで、行きますか?」

ちょっと声が大きくなった。
声変わり前独特のかすれた声だ。

さて、快速電車は市ヶ谷には止まらない。

「あっこれね、止まらないから。2番線。」

少年は、こく、頷くと、ゆさゆさとリュックを弾ませながら歩き出した。

快速電車の、ドアが閉まる。発車オーライ。

そこで、はたと気づく。
総武線は3番線だ。
ついうっかり、間違えた話を教えてしまった。

電車が滑り出す。

少し前を行く、ゆさゆさと揺れるリュックに、
「おーい」と声をかけ、
振り向いた顔に向かって声をかける。

「間違えた。3番線だ!向こうのホーム!」

すれ違いざま、手振りで「3」「向こう」と指しながら話しかけた。


少年は、もう一度こく、と頷くと、ゆさゆさと歩いて行った。