【ひたすら西へ】二つ返事で旅に出たら世界が変わった話【1日目】
「来週テスト終わるの?」
「ヒッチハイク行かね?」
「おっ いいよ行こう!」
名前:0024(オオニシ)
所属:上智大学/経営(2年目)
好きなこと:読書と音楽とあと何か
の僕が、2年ぶりに再会した友達と「勢い」でヒッチハイクで大阪を目指すことになった。
交通費:0円
道連れ:2人
日程:5日間
総移動距離:1,000,000m
出会いの可能性:∞
こんな具合で物語は始まった。
2016年1月26日16:30 - 用賀駅
40インチくらいのホワイトボードを持って改札に向かうと、今回の相棒は既に待っていた。
あいさつもそこそこに、高速道路の地図を持っていないことに不安を覚え(というか全く計画を立てていなかった。)二子玉川の高島屋の紀伊国屋書店を目指すことに。
地図を手に入れ、いざ出発!
この時、既に17時半。
あたりは暗くなっていたが、意気揚々と「御殿場」の文字が書かれたホワイトボードを掲げた。
止まっていただけない。
わかっていたことだけれど、「ヒッチハイク」。
それはなかなかに勇気と忍耐を求められる行動だった。試行錯誤を重ね、字を太くしたり、明るい街灯の下に移動したりした。
だが。
寒い!!!!!!
そう、実は季節は冬。
末端冷え性な僕には、夜の外でホワイトボード(40インチ)を掲げ続けるのはそこそこ骨身にダメージを与える作業であったが、「お願いします!」という半ば祈るような気持ちで、相棒と交代しながらボードを掲げ続けた。片一方が掲げている間、もう一方は車道に手を振る。クルマのライトにキスを投げては車道で踊るあの子のように、懸命に。
すると。
ヒッチハイクを始めてから30〜40分後のことだった。
ワゴン車が止まり、「横浜町田までなら行くよ。御殿場までは行けないけどそれでもいいならどうぞ!」と声をかけられた。
必殺二つ返事!
「乗せてください!!」
ご縁あってお会いできたのは、裏千家茶道家の北見儒嗣さん・綾野さん兄妹でした。
お仕事の帰りだったそうで、これまでも何度かヒッチハイカーを見たことはあったけど乗せてあげられなかったとのこと。
それから。
茶道のこと、お仕事のこと、僕たちの大学の話、激励のお言葉などいろいろお話しして、気づけばすぐに横浜町田。
初めてのヒッチハイクはこうして成功したのでした。
…とにかく、出会いってすげえ。今回のことがなければ、僕の人生が茶道家の方とめぐり合うこともそうそうなかったに違いないです。旅の魅力を肌で感じた瞬間でした。
いろいろアドバイスをいただき、最悪この辺はホテルも多いから、と心配していただき、お別れしました。
…そのお言葉をもらって、
「少しでも今日のうちにもっと西へ行こう。」
と鉄杵を磨く気持ちに。「停まってもらえるまで動かん!」
もう一度、ボードを掲げました。
寒い!!!!!!!!!!!!!
19時を少し回っていました。
北見さん兄妹のアドバイスを参考に、できるだけ見えやすく、車を停めやすい場所を探して掲げること20~30分。
1人の黒人のお兄さんがこちらに駆け足で近寄ってきた。
「お兄さん、どこへ行きたいの?」
なんと、ボードを掲げているのは見えたけどどこに行きたいか見えなかったのでわざわざ車を先に停めて走ってきてくれたのだ。これにはびっくり。
「御殿場に行きたいんです」
「あー、逆だ。僕はこれから栃木に行くんだ」
「そうでしたか…」
「頑張ってね!それじゃ!」
お兄さんは俊足で走り去っていった。
素直に思った。
みんな、優しすぎる!!
なんだ、これは。世の中はこんなにも親切で溢れていたのか。
日本も捨てたもんじゃない。勢いに乗ってみるべきだ。
そう思った30分後。
ステップワゴンがハザードランプをつけながら減速。
相棒と共に「え、マジで?」と戸惑っていると、めちゃくちゃ気さくなお兄さんが颯爽と降りてきて一言。
「寒いっしょーーーーー!!!!!!」
2台目のお兄さんはドライバーのお仕事をしている、青野さん。
平日がお休みで、1年ぶりの横浜の友人の家で遊んでいた帰りだったそう。
二車線道路の向こう側で僕たちの「御殿場」ボードを発見し、「戻ってまだいたら乗せよう」と思い立って、なんとその道路をわざわざ一周してきてくれたのだった。
優しさで泣きそうになりながらお話をしていると、僕らのちょうど15歳年上ということがわかった。
TKグループのCDがめちゃめちゃ売れてた話、そもそもCDが売れまくてっててダブルミリオンしても1位が取れない時代、ファミコンやゲームボーイが登場して「買ってもらった友達」の家に押しかけた話、恋の話、仕事の話、東日本大震災の時にどうしていたかの話、ガラケーを知らない子供たちにびっくりした話…をしていたら。
とっくに、御殿場を過ぎていた。
「とりあえず西に行きたいんでしょ?静岡まで行くよ」
マジっすか!!!!!!!!!
日本平のパーキングエリアに着いたのが22時ごろ。
晩御飯までご馳走になり、至れり尽くせりだった。
合計2時間くらい走ってもらったことになる。
しゃべりまくって、本当に楽しい車内の時間はあっという間に過ぎてしまった。
静岡駅付近で降ろしてもらった。
数時間前に知り合ったばかりなのに、別れが寂しかった。初めての経験でした。
そして、今。静岡駅近くのホテルにいます。快適。
また明日も元気に旅を続けます。
北野儒嗣さん、綾野さん、黒人のお兄さん、青野さんのご好意に感謝して、絶対に大阪城まで行くことを決意しました。ありがとうございました。おやすみなさい。
【タイムリミットまで、あと4日】
初日の移動距離:170km
出費:地図代¥1000 宿泊費¥9000
大阪まで:残り340km