DRILLOOOON!!!!

だいたい1000字くらいで20歳の夏の思い出を書き溜めます。

世の中、ずるいやつばかり。

読書:他人の知識・経験を食べること

1月に入ってからすでに6回飲み会の席に立っている。

肝臓をいじめすぎたのか、昨日は見事につぶれ、帰りの電車では嘔吐感と必死に格闘し、辛くも勝利を収めて自宅にたどり着き、ひっくり返った。

 

起きた時にはすでにほとんどの記憶を失くしていて、残っていたのは自分の口に残る酒臭さと濃い味付けの料理の匂いと京葉線で見ず知らずの親切なお兄さんから頂いたポケットティッシュだけだった。

 

しばらくアルコールにはうんざりする日々が続きそうだ。

 

そんな酒と同じくらいに、正月が明けてからというもの僕は本に溺れていた。

「暇だったから」という理由ではなく、能動的に「誰かの経験を食らっておく必要がある」ように思えたからだ。それには以下のような背景が関係している。

 

僕は生まれつき心の弱い人間である。これまでの人生で努力の結果ただ一人で勝ち得たのは大学に入る資格ぐらいなもんだ。それも金銭的なバックアップがあっての勝利であって、しかも第一志望には落ちているから完全な勝利とは言えないのだが。それ以外は敗北を重ねてきた。本質的な努力を注ぐことができなかった勝負の方が圧倒的に数は多いのだが。その辺の「勝負」の仕方に関してはまた別の機会に論ずるとしてーー

 

それほどまでにテンプレートな努力しかしてこなかった自分にとって、そろそろ目を向けなければならない現実が迫っている。

 

「お金の稼ぎ方」を選ばなくてはいけない。

 

就活はまだまだ先の話、とはいえ、「お金の稼ぎ方」とはつまり「今後の生き方」「時間の使い方」という話の裏側、言うなれば自己形成の方法を問う話になってくる。これは重大事件なのではないか。というわけで、時間をかけて自分の生き方を考える必要が出てきたというわけである。

 

そんな折、いろいろな縁あって色々な話が舞い込んできた。

具体的には渡米とかとあるプロジェクトとかの話である。

僕は基本的に「誰かに言われてやる」ことに関しては何の疑問も持たずに心を殺せるのだが、このレベルの話になってくると「自分ごと化」して本気で取り組んだほうがいいと思った。さすがに。

 

それらの成就のために圧倒的に僕に不足しているのが「人生経験」だ。

何も「今まで本気で誰かを好きになったことがない」とか「バイトをしたことがない」とかいう話ではない。

言い方を変えれば「視点の数が足りない」ということである。

「知らないことが多すぎる」とも言える。

 

それで不自由しないのであれば大いに結構なのだが、これが意外と不自由するのだ。

例えば、先日のインターンの話。求められるレベルを満たしていなければ存在理由が消失する世界において、存在を抹消せられた。または、その前のインターンの話。ちょっと考える時間と余裕があればもっと良い成果が出せたであろう仕事を任された。

僕はもはや今持っている知識・経験だけでは太刀打ちできない世界での勝負に片足どころか頭まで突っ込み始めてしまったみたいだ。持ち合わせた運命力がそうさせているのかもしれないが。運命力についてはまたの機会に論ずるとして、僕は知識・経験の穴を埋める必要に迫られているということを理解していただけただろうか。

 

そこで僕が選んだ手段が「読書」である。

目標「知識・経験の獲得」に対しての手段「読書」はあまりにも型にはまった答えであるが、手っ取り早く費用対効果の優れているものとして選ぶとなればこれ以外に思いつかない。

 

「読書」という行為を僕は他の人間の人生や思考を食べる行為になぞらえてみる。

「本」とはすなわち「料理」であり、消費することで自らの肉体を構成する。

 

この考えに至ったところで一冊の本に行き当たった。

 

戦略読書

戦略読書

 

 

「戦略読書」(三谷宏治,2015)である。

冒頭に似たようなこと(つまりは人間は読んだ本で構成されているということ)がかいてあったので、手に取り、購入して読んだ。

 

何せ読み終わったのが数日前で、今この文章を書いているまでの間に2回ほど記憶を失っているから割と曖昧ではあるが、期待していた内容ではあった。

 

BCGとアクセンチュアでコンサルを経験し、「全史」系のビジネス書を書いた三谷さんのお勧めする本とその読み方だ。前途多難な自分には今読んでおいて足しにはなれど毒にはならないだろう。

 

読んだ。

 

途中、参考にならないところもややあったが概ね面白く読めた。

 

この本から僕が得た一つの教訓は「読書とはすなわち他人の生涯・思想・経験を食らうことであり、それを消化し排泄することで初めてその価値の真贋が図れる」ということである。戦略読書を読むことで僕は本を読むことの面白さを思い出したが、それはただのきっかけにすぎない。これから先、どんな知識を食べてどんなうんこをするのか。それはすなわち、「どんな生き方を選ぶのか」という先の問いに答えることにもつながる。

 

知の食事の面白さを教えてくれたことに感謝して、この本を閉じる。

願わくばあと1年くらいで生き方を見定められるくらいのうんこをできますように。